何度も予定を変更してもらい、ようやく前PTA会長に会った。成文化された記録が残っていないので、細かい段取りなどいちいちお伺いをたてなければならない。それもこれも高等部の保護者が会長になるのが、あの養護学校始まって以来のことだからだ。今までの高等部は義務教育の小学部・中学部に比べるとお荷物のような存在だった。高等部の人数が150名を超え、来年度は180名に届く。PTAの勢力地図も高等部が過半数を占め、何かと多数決で優位に立てるようになった。高等部主導に切り替えるにしても、旧勢力を無視できないのも事実だ。だから前会長とも懇意にし、小・中学部にも何かと根回しをしてもらう。なんて面倒なことをしているのだろう・・・と何度も放り投げそうになる。お茶を飲みながら段取りの確認をし、一息ついたときだった。前会長がTEACCHという言葉を口にした。えっ?と驚いて、自発的なコミュニケーションならPECSがいいかも・・と言う。すると急に話が進み、前会長は重複クラスでPECSをやってみたいと乗り気だ。担任や介助員を巻き込んで、初めの一歩を印すことになった。しかし別れ際、前会長が「RAMさん、じゃSPECTの件、先生に伝えますね」と勘違いされ、前途多難だと感じた。