夕食後"WHAM !"を聴き、その後子ペンギンのTV鑑賞に付き合う。今夜は子ペンギンの好きなTV番組が続く。まず彼の得意な「IQサプリ」から始まり、「めちゃイケ」、「喰いタン」、「エンタの神様」と連続している。しかし、間の番組2つは、ながら見状態だ。つまらないと入浴し、鉄道雑誌に目を通す。視覚認知に優れる彼は、合体漢字クイズを凄まじい速さで解く。得意なことで褒められると、彼は嬉しさだけでなく、自分の存在感を確認できるのだと思う。「好きこそ物の上手なれ」を英語にすると、"We can do well at what we likeとなる。すなわち、好きなことは上手にやれるという意味だ。
「やり・もらい文」、「擬音語・擬態語」などを通して、日本文化に慣れてきた留学生達も、この時期疲れが目立つ。言語と文化を切り離しては語れないが、無理に覚えるのもストレスの元だ。何かその学生が好きなこと、得意なことがあれば、それを使って日本の言語・文化に触れてもらう。ある学生は音楽、とくにクラッシクが大好きだ。そしてピアノが上手い。日本語を楽しんでもらうには、どうしようかと考えた。ある時、子ペンギンが中1のとき使っていた音楽のワークブックを留学生に手渡した。日本の伝統的楽器だけでなく、西洋の著名な作曲家も紹介してある。運のいいことに、留学生の母国が生んだ有名な作曲家も載っていた。音符はユニバーサル デザインなので、分かりやすい。基本知識を持ち外国語を読むのは、木につけられた目印を頼りに森の中を進んで行くことに似ている。先の見通しがない暗い森に放り出されたら、誰でも心細くなるだろう。目印は何でもいいと思う。森を歩く人が、見てよく分かることが条件だ。「がんばってね」と声をかけられるより、「覚えた日本語で、歌を作ったらどうですか」と言われる方が、嬉しいに違いない。