冬休み半ば、最初は規則正しい生活を送っていた子ペンギンだが、今夜はまだTVを見ている。面白い番組が夜遅く放送されるので、彼もそういう変化には柔軟に対応する。昨今のTV番組は、視覚に上手く訴える工夫を怠らず、子ペンギンにはとっておきの楽しみと情報を得る機会を提供してくれる。もっぱらお笑い番組か教育TVの番組が気に入っているようだ。駄洒落を楽しむ番組と、表象的なものまねを楽しむ番組の2種類に分けられるようだ。この時間に見ている番組は、駄洒落系なのだが、子ペンギンは片手に「新字源」、もう一方の手に地図を持ちながら見ている。感覚的に面白かったギャグを、情報として処理する時に辞書や地図の助けがいるのかもしれない。それでも面白さが分からないとき、彼は母ペンギンや父ペンギンを質問攻めにする。矢継ぎ早の質問は、誘導尋問のようで、あまり気分がよくない。結局、彼の腑に落ちるような解答をするまで、親ペンギンはあれこれと頭をひねる。時間的に余裕があるとき、状況として質問が許される場合に限り、解説することにしている。そうでない場合、この説明はいつ、どこで、何時頃にしたい旨を彼に告げ、了承を得る。妥協と言うよりも、歩み寄りだ。