我が子の障碍を受容するたとえ話として“Welcome to Holland”が有名だ。おおまかな内容を紹介しよう。子どもの誕生を待ちわびるのは、憧れのイタリア旅行を計画することに似ている。期待に胸ふくらませてガイドブックなどを買い込む。いざ旅行に出発し、空港に着くと機内アナウンスで「みなさま、機体の都合でオランダに着陸いたしました」と告げられる。そしてこの話は、イタリアには行けなかったが、オランダにも素晴らしいところが沢山あり、安全な国なのだから観光を楽しむように…。嘆いていては、オランダの良さがわからない」と結んである。この話を初めて読んだとき以来、どうにも違和感がつきまとった。きっと私の障害受容がまだ形成されていないためだと思ったものだ。しかし、自閉症の場合はこのような受容は難しい。もともとこの話はダウン症児をもつ親のために書かれたものだ。自閉症の場合、子どもが誕生してから少なくとも1年以内に気づくことは希だ。健やかに育っていると思っているだけに、その衝撃は大きい。マスコミで構造設計の不備によるマンション問題が取り上げられ、日々路頭に迷う住民達が映し出される。その嘆きに関して共感できるのは、ある意味あの人たちと同じような状況にいたのだろうと思う。Genomeの構造設計はだれにもわからない。