最近TVのCMに昔聴いた曲がよく使われる。子ども達に「この曲はママが~だったころ流行っていたよ。懐かしいなぁ…」などと言おうものなら、誰も反応してくれない。小学校の頃流行ったというと、彼らは「ふ~ん」と言う。それより以前になると、「なんで覚えているの?」と怪訝そうな顔をする。ゴセックの「ガボット」がTVから流れてきた時、なんとも懐かしい気持ちになった。と同時に、とても焦って困った気持ちが蘇ってきた。私の通った幼稚園は音楽発表会を市公会堂でするような、ある意味親に見せる教育をしていた。毎年その頃になると、練習させられて大変だったのを覚えている。年長はガボットを演奏することになった。私は最前列で木琴だ。自分たちの番になり幕が開くと、観客の顔が間近に見られて驚いてしまった。そして曲の終盤、肝心なところで間違えてしまった。ほんの小さなミスだったけれど、あの時の焦ったことと困った場面を完全にに再生できる。記念写真を見ると私は長い髪に大きなリボンを付け、ばちを手に持ちまんざらでもない顔をしている。にっこり笑う私と困った私が折り合わないまま、何十年も経ってしまったようだ。