滅多にCDを買わない子ペンギンが、自分のお小遣いで新曲を買う。近所にCDを売っているところはないので、ネットで注文した。最寄りのコンビニで受け取り、代金を払うシステムだ。彼が注文したのは「いざやカブかん」という歌で、NHK教育TV「からだであそぼ」で紹介されている。歌舞伎の独特な口調が気に入ったらしい。一字一句解説するように頼まれたときは、なんだか外国人に説明するようだと苦笑したものだ。どういう意味で、何を言いたいのか説明すると、彼はますますその曲が好きになったらしい。市川染五郎が踊り、長唄の杵屋崇光が朗々と歌っている。明日には店に届くだろうから、彼はさい先のよい夏休みを送るだろう。いつも辞書を片手にTVを見ている彼だが、普通の辞書には載っていない言葉にも興味が広がってきたのかもしれない。興味のあることから始まって、それを社会への関心に向けられたらどんなにかいいだろう。鉄道やアニメ・歌舞伎からでも、ずいぶん世の中の事に繋がっていける。そのナビゲーターになるのは、母親としての特権だと思う。