時間に追われる日常からほんの少し距離をおくのが週末の楽しみだ。実際は子ども達に加えつれあいまでもが家にいるため、精神的な疲労を極める。雑事の合間にCDを借り、中古ビデオを買った。ビデオはTom Hanks主演の「ビッグ」だ。パッケージに「トムハンクスの足音の変化だけで泣ける」とシールが貼ってあったからだ。本当に足音の変化だけで泣けるのか試してみたくなった。ストーリーは13歳の子どもがある日突然30歳の大人になるというものだ。精神年齢13歳の大人が社会で経験する様々なエピソードを綴った物語らしい。中古ビデオはこれで9巻目だが、一つも見られないでいる。CDは"Very! My favorites!"という昔の曲が入っているものだ。CDを手にとって曲目を見ると懐かしいThe Monkeesの"Daydream Believer"が入っていた。まるで教科書に出てくるような、古い言い回しに苦笑しながら聴いた。懐メロとして思春期にこの曲を聴いたが、メロディーしか記憶に残らなかった。きっと曲とそれを聴いた場面が合わなかったのだと思う。幼稚園の運動会で踊った曲。小学校の修学旅行で、お土産を買おうとしてホテルのロビーで聴いた曲。どれも曲と場面が鮮明に連なっている。特に覚えようとしていたわけではないが、全てが記憶の倉庫にひっそりと収まっている。DaydreamerやDaytripperではなく、Memory Downloaderというのは奇異な存在なのだろうか。