この地方にしてはめずらしく吹雪だった時、空き時間に生協に立ち寄り、雑誌に目を通した。TIMEやNewsWeek誌をのきなみ立ち読みし、時間を潰した。書籍部には英語版、日本語版が常置してある。センセーショナルな見出しの割に、内容は一般論が多いと思いつつ読むのが楽しい。英語版ではなく、日本語版ニューズウィーク誌の巻末に面白い記事を見つけた。“New Products”紹介欄に「描いた線路を、走れトーマス!」と書いてあった。カナダのSpin Master社が販売する"Aquadoodle Thomas"というオモチャだが、発想のユニークさに気持ちが和んだ。線路の形がペン先についているローラーペンに水を含ませ、専用マットの上を転がすと、自由に線路が引ける。自分で引いた線路にトーマスを置くと、線路上を走り出す。機関車が暴走することもなく、引いた線路も乾けば消えるので、いちいち消さなくて良いらしい。もっと大きな専用マットがあり、曲線カーブの角度制限も緩やかで、トーマス以外の電車も走ったら、さぞかし鉄道好きな自閉症の子どもは喜ぶだろう。視覚による構造化にも、同じ事が言えるのではないだろうか。このおもちゃの場合、専用マットだけに線路が書けること、ローラーペンのペン先が線路の形を保持することで、子どもに安心感を与える。あとは子どものneedsにより、その子に適した線路を書いてゆけばよいと思う。日常生活でおりおりにSkillが獲得されたら、そのつど視覚支援という線路を消せばよいだけだ。